Teachers' Resources

ーーー統一テストが教えと学びに与える影響を考えるためのリソースーーー

1/20/2003

先日大学入試センター試験が無事終了しました。これを皮切りにことしもまた本格的な入学試験シーズンがはじまりました。受験生にとっては気の抜けない日々が続きます。このセンター試験、英語に関して言えばとくに難問、奇問の類は全くなく教科書を中心とした高校での授業をきっちりこなしていれば解答できるものだったと思います。

ところで、この入学試験をはじめとする統一テスト (Standardized Tests) 、生徒たちの力をどれだけ正当に評価することができるのかこの時期になるといつも考えさせられてしまいます。 特にこのマーク式の統一テストが実際の教えと生徒達の学びに与える影響については専門家や教師たちの間で頻繁に議論され、教え・学びを浅くしているとも言われています。 しかし何よりも教えの現場に携わる者としていちばん気を付けなければならない事は何でしょうか。「試験」を口実に教え・学びの本質を忘れていつもドリル式の練習問題をくり返し、 あたかも試験の準備だけが学びの重要な部分だという間違ったイメージを生徒達に与えないようにする事だと思います。

もちろん、「試験志向社会 (Test-Oriented Society)」を生きる私たちにとって、「テスト」は現実であり避けることのできないものです。 だからこそ「テスト」の本質をより深く理解しその質や使い方を研究・議論し、より良い応用を考えてゆくことが大切なのだ思います。

そこでこのページでは今いちどテストというものの本質を考えるために下記の2つのリンクを用意しました。 これらは、2002年の3月にアメリカの"NPR"というラジオ局が特集した"Standardized Tests: What Are We Trying to Measure?" と "How Does a Standardized Test Affect Teaching and Learning?" というハーバード大学の "Askwith Lecture Hall" で行われたそれぞれ50分もののパネル・ディスカッションです。ブッシュ大統領が 同年1月に公立学校での教育の質向上を計る目的で "No Child Left Behind Act" という法律にサインし、各学年ごとに"Standardized Test" を導入しようと試みていることを受けたあとに盛んに行われた一連の議論の一つです。

もちろん事情の異なる米国での議論。日本の状況には当てはまらないことも多く議論されていますが、統一テストの本質、様々なテストの種類、テストが教えや学びに与える影響など参考になり応用できることは多々あります。英語教師にとっては英語力を磨くという意味でも役に立つリソースです。

また、「中級の上」以上の英語学習者にとってはリスニング力を伸ばすための良い教材です。議論のポイントに沿って聞き取りを行い、その内要を300字程度の日本語に要約し、なおかつ自分がいちばん興味がある(自分が賛成できる、または強く反論したい)パネルストの議論に対し自分自身の意見をまとめ、論理的に展開してみて下さい。また英語でのライティングに自信のある人は上記のことを英語で挑戦してみませんか。もちろん両方でもOKです。

Standardized Tests: What Are We Trying to Measure?--- Are Standardized Tests an accurate reflection of how our students and our schools are doing? ---

パネリスト:
John Merrow --- 元教師で "PBS" の教育問題を扱った番組のホストを務める。
Jeff Howard --- 教育者の訓練を行うNPO団体 "Efficacy Institute" の創設者&代表
Dr. Dan Koretz --- ハーバード大学大学院教授。「教育評価」専門。
司会:Neal Conan (NPR)

議論のポイント:
番組の最初の約18分間はパネリストたちのディスカッションが展開されます。次のポイントに注意して聞き取りましょう。

残りの時間は次のような質問に沿って議論が行われます。パネリストたちの応答を聞き取りましょう。


認知言語学者で、UC・バークレー大学教授のジョージ・レイコフ氏は、 保守とリベラルの本質的な違いを個人個人の深いところに刻み込まれたメタファーで説明し、 それが世の中をどのように理解するかのフレームを形成しているという。

---Moral Politics: How Liberals and Conservatives Think---

「何故リベラルは死刑制度に反対し、保守はそういうリベラルを愚かだと思うのか。 どうして労働者の擁護者を自認するリベラルが雇用を脅かすような環境保護法案に熱心になれるのか。保守もリベラルも自分の考えこそが常識的だと考える。」

カリフォルニア大バークレー校のジョージ・レイコフ氏が、思想史からではなく認知科学の観点から保守とリベラルの世界観の違いを説明。 家族メタファー (Strict Father vs. Nurturing Parent) を使い双方の世界観フレームワーク理論を展開。


---IQ と EQ ; 非認知能力---

多重知能 “MI (Multiple Intelligences)” の提唱者ハワード・ガードナーと、非認知能力のはしりとも言われている感情知能 ”EQ” の提唱者ダニエル・ゴールマンの対談を記録。

認知能力を測定するために使われてきた”IQ”だが、20世紀後半になるとIQは人間の知的能力を十分に図れていないのではないかという疑問が起こってきた。

多重知能 “Multiple Intelligences” の提唱者、ハワード・ガードナーは認知能力の定義を見直す研究を行い、一方、ゴールマンは知能とは別の視点、非認知能力からその疑問に取り組んだ。

その二人が、1997年6月にラジオで対談をした。

しかし、”EQ”が提唱する「将来の目標のために目の前の欲求を先延ばしする」という意志の力の存在に異議を唱える研究者は多い。

実際、有名なマシュマロの実験を行ったウォルター・ミシェルは、「我慢する」意志の力などというものはもともと弱く、重要なのは「注意を戦略的に配分する技術だと主張している。

そして、この精神的技術はますます価値を増しており、ハーバート・サイモンは「情報の豊かさは注意力の貧困を生み出す」と言う。「私たちは情報化時代に生きており、そのため、重要な情報に焦点を当てることができる能力は極めて大切になる」と彼は主張している。

しょせん、人間の「自由意志」などは大したことはなく、「無意識こそが精神の大半を占める」ことがわかっている。人間に出来ることは、「成功の手助けとなるような考えに焦点を当て、注意の対象をコントロールする」ことだけなのだから。


---A message from our friend, Andrew---